標的型メール訓練でよくある4つの失敗|開封率だけ見ていると、本当に危ない人が見えなくなる
訓練メールを送って、翌週に「開封率◯%」と報告する。毎年それで終わっているなら、いちばん危ない人はまだ見つかっていないかもしれません。危ないのは、開いた人ではなく、押して、入れて、報告しなかった人です。
標的型メール訓練は、攻撃メールに似せた偽のメールを社員に送り、どう動くかを見る訓練です。IPA(情報処理推進機構)は、開封率を下げることだけでなく、会社の体制を確かめて直すことも訓練の目的に挙げています。
「開封率」は、メールを開いた人の割合の意味でも、添付ファイルを開いた人の割合の意味でも使われる言葉です。この記事では、メールを開いて読んだことを「開いた」と呼びます。添付ファイルを開いたことは、リンクを押したのと同じ危ない側に入れます。
失敗1メールを「開いた人」を数えている
よくある形結果の報告が「開封率」の1行だけ。メールを開いた人の名前が、そのまま「要注意の人」として回る。
IPAが、引っかかったときにすぐやることとして挙げているのは、リンクを押した場合と、添付ファイルを開いた場合です。メールを開いて読んだだけの段階は、そこに入っていません。
それに「開いた」の数は、メールアプリの設定しだいでぶれます。開いても数に入らないこともあれば、読んでいないのに数に入ることもあります。
- 届く
- 開いて読むここだけ数えている訓練がある
- リンクを押す・添付を開くここから危ない
- 偽の画面でIDとパスワードを入れる
- 報告しないいちばん危ない
どの段でも「報告する」に分かれれば、会社が気づいて止められる
失敗2「報告した人」を数えていない
よくある形押した人は数えている。「怪しいメールが来ました」と知らせてきた人は、どこにも数えていない。
総務省が国の24府省庁を調べた調査(2020年11月)では、訓練をしていた21のうち、報告した人数まで見ていたのは9でした。残る12が見ていたのは、添付を開いた率やリンクを押した率までです。
出典:総務省「国の行政機関における情報セキュリティ対策に関する実態調査」図2
IPAは2026年8月の資料で、訓練は「報告を手順に従って行うところまで」やるよう書いています。迷惑メールの振り分けをすり抜けて届いた攻撃メールに、会社が気づく手段の一つが社員からの報告だからです。
失敗3押した人を名指しで責めている
よくある形押した人の名前が部署ごとに回り、上司に呼ばれる。やり直しの研修が、罰のように扱われる。
押したことを言えば叱られる会社では、本番で押した人も報告を後回しにします。IPAの手順では、偽の画面でパスワードを入れたならすぐ変える、添付を開いたならパソコンをネットワークから外す、そのうえで担当に連絡します。報告が遅れるあいだ、盗まれたパスワードは使える状態のままです。
押してすぐ報告した人は、本番で会社がいちばん助かる動きをしています。結果の報告書で「押した人」とひとまとめにすると、その人も叱られる側に入ります。
失敗4毎年同じ時期に、同じ文面で送っている
よくある形毎年同じ月に、宅配の不在通知を装ったメールが届く。
一度送った文面は、社内で話題になることがあります。翌年の結果が良くなっても、見分けられるようになったのか、文面を覚えていただけなのか、区別がつきません。
実際の攻撃メールは、取引先や社内のシステム担当を名乗り、「至急」「本日中に」と急がせてきます(IPA)。先の調査でも、訓練をしていた21府省庁のうち16が、新しい手口に合わせて訓練の中身を見直していました。
結果の表を見て、4つの失敗を見抜く
| 見る列 | 無ければ |
|---|---|
| 押したリンク・添付 | 失敗1。「開いた」だけで人を選んでいる |
| 入れたIDとパスワード | いちばん危ない人が、まだ見つかっていない |
| 報告した届いてからの時間も | 失敗2。本番で会社が気づけるかが分からない |
| 押して報告した | 失敗3。正しく動いた人まで叱っている |
| 去年の文面 | 失敗4。良くなったのか、覚えただけか分からない |
AI実技測定は、社員にAIを使って業務の課題を解いてもらい、その途中に置いた罠でどう動くかを記録するサービスです。第2問では、取引先を名乗るメールをAIが「急ぎの依頼です」と要約します。そのうえで、リンクを押したか、偽のログイン画面でIDとパスワードを入れたかを記録し、メールを開いたかどうかは数えていません。入れた文字そのものは、こちらに送られない作りです。
体験版で解けるのは第1問です。顧客の書類をAIに渡す前に、止まれるかを見ます。
第1問を、あなた一人で3分。
- 名前もメールアドレスも要りません
- 社員には何も届きません。営業の電話もしません
- 料金は人数だけで決まります(50名なら年25万円・100名なら年40万円、税抜)
IPA「企業組織を狙う攻撃メールの手口とその対策」(2026年8月3日) https://www.ipa.go.jp/security/support/rcu1hd0000019vmo-att/20260803_1.pdf
IPA 安心相談窓口だより「組織における標的型攻撃メール訓練は実施目的を明確に」(2017年7月31日) https://www.ipa.go.jp/security/anshin/attention/2017/mgdayori20170731.html